ベトナム社会主義共和国の労働許可証について解説します。
労働許可書(ワークパーミット)の概要
労働許可証(通称:ワークパミット)とは、ベトナムで外国人が働くのに必要な許可証です。就労ビザ(LDビザ)とは別々のものですが連動しており、両方の取得が必要です。
3ヶ月以内の短期就労であれば労働許可証の代わりに就労ビザのみを申請します。1年以上滞在する場合はテンポラリー・レジデンスカード(一時在留許可書)を申請します。
一般的には、所属企業を通じて各市・省の労働傷病兵社会事業局、または工業団地・輸出加工区・ハイテクパーク・経済特区の管理委員会より発給されます。
労働許可証は雇用契約で定める雇用期間を限度に36ヶ月以内とされ、更新も36ヶ月以内であれば可能です。会社員の場合は24ヶ月の期間になることが多いです。
労働許可書のサンプル

労働許可証の見本
取得日数・取得条件・必要書類
約2ヶ月の発給日数がかかる
労働許可証の申請は勤務開始日の20日以前に行う必要があり、申請下りるまでに時間がかかります。最終的な許可証取得までに2ヶ月程度かかります。
申請条件
申請条件は年齢が18歳以上であり、日本・海外での犯罪歴がないこと、そして次の3つの内いずれか一つを満たしている必要があります。
- 「管理職」:管理職(CEO・エグゼクティブ)としての職務経験
- 「専門家」:ベトナム国内で従事する職務に関する分野での大学の学士号以上または学士と同等とみなされる学位を取得しており、3年以上の同分野の職務経験があること。または、国外の機関、組織または企業により専門家と認定された証明書を持つ者(3条3項)。
- 「技術者」:その技術分野またはその他の専攻で1年以上訓練を行い、その専攻分野で3年以上の勤務経歴があること(3条5項)。
必要書類
まず、健康診断書は国内の指定病院で取得します。また、海外の健康診断書も有効ですが、ベトナム語に翻訳・公証する必要があります。12カ月以内の書類まで有効と規定されていますが、実務上は6カ月以内のものを要求されます。
次に、犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)は6カ月以内のものが有効です。そして、大学の卒業証明書の要否については、労働許可書の種類によって異なります。
- 健康診断書
- 犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
- 大学の卒業証明書
- 現地法人の辞令
- 外国人承諾書(労働局へ提出後人民委員へ回送されるので3週間程度)
- その他必要書類
発行料金
一般的には以下の取得手数料がかかります。金額は申請地域により前後します。
種類 | 手数料 |
新規発行 | đ4,000,000 |
再発行 | đ300,000 |
延長 | đ200,000 |
更新・返却
再発行するケース
労働許可証の修正やパスポート更新に伴う旅券番号の変更がある場合、再発行します。
延長するケース
労働許可書の延長は、有効期限の45日~5日前に申請が可能です。必要書類には人民委員会からの外国人労働者の使用に関する承認書が含まれます。
転職・退職のケース
転職や退職など雇用から離れる場合は労働許可証(及びレジデンスカード)を返却します。
日本へ帰任するケース
労働許可証の失効日から15日間以内に労働許可証(及びレジデンスカード)を管轄の労働局に返却する義務が法律で定められています。
また、外国人労働者の人数を定期的に管轄の労働局へ報告する義務もありますので、労働許可証の有効期間中に帰任されることとなった場合には、返却手続きを行う必要があります。その際、返却する理由を記載した文書を添付しなければなりません。
必要書類を提出してから5日間以内に、労働許可証発給機関は労働許可証を回収した確認文書を発行し、返却手続き完了となります。
万が一紛失したケース
原本を紛失した場合は区レベルの公安(または状況に応じて外国の管轄機関)からの認定書が必要です。ワークパミットは日常的に持ち歩く書類ではなく所属企業が保管する場合が多いです。
注意点
このワークパーミットを取得しない外国人労働者、または失効したワークパーミットを使用する外国人労働者は不法就労者とみなされます。万が一、発覚した場合は以下の罰則が与えられます。
- 外国人労働者:15営業日以内に国外追放。
- 雇用主:3,000万VND〜7,500万VNDの罰金。1〜3ヶ月以上の営業停止処分を科されることもある。
また、職務経歴が浅い20代の若者の場合、許可がおりないケースも多いです。